開設につき

genkan私達の息子、理(みがく)は1995年7月、19歳の短い生涯を閉じました。それは彼らしい優しさからの交通事故死でした。絵を描きたい、それを人生の希望にして、美大を目指して東京で、必死にがんばっていた矢先のことでした

 幼児期からあまり目立たず、寡黙であった息子は小さい頃から絵を描くことが好きで、高校時代に画家を目指すことを決意しました。何事にも時間がかかり、不器用な生き方しかできなかった彼にとって絵は自らを表現する唯一の手段でした。絵は自分
にとって日記のようなものだといっていたように、遺された絵は彼の人生そのものでした。彼の人生が未熟だったように絵も未熟ではありますが、私達にいろんなことを語りかけているように思われます。

生前、彼は感動を与える絵描きになりたい、人々を幸せに出来るような画家になりたいと書き残していました。私たちはそんな彼の思いが人に伝えられる場所をつくりたい、私たちもそこで息子と対話がしたい、そんな思いでこのギャラリーをつくる決意をしました。理が多くの人たちに育てられ、成長したようにこのOKUI MIGAKUギャラリーもみなさまに育てられ居心地の良い空間になればと思っております

奥井 則行 
登代